伝わる言葉と伝える言葉

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貧乏人は麦を食え!

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当時の大蔵大臣、池田勇人氏の発言が日本中を駆け巡り、国民の反発を買いました。ただ、これは国会での答弁を新聞社が切り取って報道した言葉で、実際の発言は「所得の少ない方は麦、所得の多い方はコメを食うというような経済原則に沿ったほうへ持っていきたい」で、当時高騰していたコメ相場を冷やすために無理をしてまで高いものを買うのは控えたほうが経済が安定すると言いたかったのが真意のようですが、対立政党やマスメディアはここぞばかりに騒ぎ立てたそうです。

文部科学大臣、萩生田光一氏の「自分の身の丈に合わせて勝負してもらえれば」に、格差助長を容認するのかと野党が猛反発。発言の謝罪をするまでに至りました。プライムニュースでの発言は、「裕福な家庭は予備校行けてずるいという議論と同じ、何回も受けれる人とそうではない人で差が出ることはあるかもしれないが、そこは身の丈に合わせて2回をきちんと選んで勝負して頑張って欲しい」という発言からの切り取られた報道です。

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この内容の是非はさておき、ここから一気に潮目が変わり大学入試改革に暗雲が立ち込めはじめました。そして11月1日、文科省は英語の民間試験について「来年度からの導入を見送る」と表明しました。今後1年をかけて新たな制度を検討し、2024年度からの実施をめざすそうです。ころころと方針が変わってしまっては当事者の受験生が気の毒です。

さて、冒頭の池田勇人氏。大蔵大臣時代はこの発言のほかにも色々と失言が問題視されていたそうですが、その後、総理大臣に就任。かの有名な経済計画「国民所得倍増計画」を発表し、日本は高度経済成長に突入。見事にその計画を成功に導きました。この時ばかりは、短い言葉が多くの国民の心に刺ささった好例ですが、コトバの力は恐ろしい。

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