ぺんてるのTOBはなぜ成り立つのか

0 0
Read Time:15 Second

文房具メーカーのぺんてる。


クレヨンと言えば、さくらクレパスかぺんてるパステルを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

このぺんてるをめぐって文具メーカー1位のコクヨと同じく文具メーカー2位のプラスが株と委任状の争奪戦(プロキシーファイト)を繰り広げています。

ことの発端は、コクヨが2019年5月にぺんてるの37%株式を保有する投資ファンドに出資し、ぺんてるに対して間接的に資本参加したことから始まります。

上場していないぺんてるの株には譲渡制限*がついているので直接株を持つことができないため、投資ファンド会社を通して支配権を取ろうとしたものです。

一旦は落ち着きかけた両社の関係でしたが、業界2位のプラスとの業務提携を進めていることをなぜかコクヨが知ることとなり、11月15日に敵対的株式公開買い付け(TOB)を仕掛け、それに対抗してプラスもホワイトナイトとしてそこに参加しました。非公開企業ながら、株価をコクヨは4200円、プラスは3500円を提示して争奪戦を繰り広げています。

普通に考えると、コクヨがプラスよりも700円も高い価格をつけているため、コクヨに軍配が上がるように見えますが、なぜ争奪戦が成り立つのでしょうか?

ぺんてるは非上場企業で株式に譲渡制限*がついていますから、コクヨはぺんてるの取締役会の承認なしに株を買うことができません。


ぺんてるの取締役会は株式の売却先がプラスであれば認めるがコクヨであれば認めたくない。

こうなると、ぺんてると関係がある団体や人(社員持ち株会や社員、取引先など)は経済合理性にしたがってコクヨに売るという判断はしにくいでしょう。

ここからは私の推測に過ぎませんが、株主は株主名簿の閲覧をする権利が会社法で定められているものの、ぺんてるは何らかの拒否理由を掲げて閲覧を拒否している可能性もあります。

もしも、そうだとするとコクヨはメディアで告知してどこにいるかわからない株主に訴えかけるのに対して、プラスは直接株主を説得することができます。

こうした背景によって非上場企業ながら今回のTOBが成立しているのではないでしょうか。

今回のニュースは、非上場企業でも株主構成によっては今回のようなリスクがあるということを思い知らされました。

日本は敵対的買収が成功しにくく、ここ20年間で成功したのは、5件程度しかありません。


買い付け期間はコクヨが12月9日、プラスは12月10日。

もうまもなく結果が明らかになります。

軍配はいかに。

Happy
Happy
0 %
Sad
Sad
0 %
Excited
Excited
0 %
Sleepy
Sleepy
0 %
Angry
Angry
0 %
Surprise
Surprise
0 %