創業5年の生存確率

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経済産業省の調査によると、起業した個人事業主のうち5年後まで存続している割合は全体の25.6%しかありません。さらに日本政策金融公庫が行なっている「新規開業パネル調査」の業種別廃業状況によると、2011年から2015年の全業種廃業率平均(n=3046)が10.2%に対し、飲食店・宿泊業の廃業率(n=598)は18.9%とずば抜けて高いことがわかります。この調査で美容業セグメントが存在せず個人向けサービスにくくられていますが、その廃業率は6.1%です。

飲食店の経営指標の一つにFL比率というものが存在します。F=Food(食材)、L=Labor(人件費)で、売上に対する食材と人件費の割合を表していて、飲食店関係の本を見ると飲食店として成功するにはF=30%、L=20%の合計50%が理想で、55%~65%のお店が多数のようです。

美容室の経営指標でよく聞くのが、人件費率40%、材料比率10%以内。飲食店のFL比率になぞらえるとフードが材料費、人件費は美容師の給与にあたるので似たような業態ですが、廃業率に大きな差があるのはなぜでしょうか。

それは人件費がかからないことです。我々のお取引する美容室は従業員を採用することを前提としてので当てはまりませんが、知ってのとおり多くの美容室は1人ないし夫婦2人で営業しているところが大多数です。今回の調査は個人事業主ですから、まさにここに当てはまります。人件費は自分たちの給与のみ。家賃は自宅の1階で営業していれば事実上なし。そうすると、夫婦が健康で働けるかぎり、固定客がある程度見込めれば廃業するまで追い込まれるには至らないということになります。

業務委託美容室は、固定費だった人件費を変動費化したため、人件費の需給調整ができることも正社員美容室と大きく異なります。一般的に規模の経済が効く項目は固定費、労働集約型のように規模の経済が効かない項目は変動費にすると経営に有利に働きます。

今まで当たり前と思っている経営指標を見直すと、見えない成功要因が見えてくるようになるかもしれません。お客さまとの会話の中からこのような話ができるようになるまで信頼関係が築けると我々の仕事の幅も拡がりそうです。

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