1990年2月11日。長くアパルトヘイトに立ち向かっていたネルソンマンデラが28年ぶりに刑務所から釈放されて、同年南アフリカで黒人初の大統領に就任します。前政府の白人官僚は報復人事を恐れていましたが、マンデラは一緒に働こうと呼びかけ白人、黒人混合の政府を作り上げます。
南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」。今では世界ランキング4位の強豪ですが、当時はアパルトヘイト政策のため国際ラグビー評議会からも除外されていた弱小チームでした。マンデラ大統領はワールドカップの出場経験すらなかったこのチームを白人と黒人の和解と団結の象徴になると考えて国を挙げてチームを応援します。そして、1995年に開催されたワールドカップ南アフリカ大会。スプリングボクスは初出場にも関わらず大躍進。なんと決勝戦でオールブラックスを破って優勝してしまいます。なんとまあ映画みたいな話ですが、れっきとした史実で、2009年には『インビクタス/負けざる者たち』という映画の題材にもなりました。
1995年のスプリングボクスと今年のジャパンチーム。しばらく低迷・迷走していた両チームはなぜ短期間でここまで強豪チームになれたのでしょうか。私はラグビーに詳しいわけではないので詳細分析はできないのですが、今回の日本代表メンバーのインタビューを聞くと「いろんなものを犠牲にしてきたからにはやるしかない」や、インタビュアーの「見事なトライを決めたのに笑っていませんね」に対して選手は「笑ったことないっすね、次があるんで」と答えるなど、勝ちにこだわる執念を恐ろしいほどに感じました。
当時のマンデラ大統領は自らスプリングボクスの練習場に足を運び、全選手の名前を覚えて一人ひとりに激励していたそうです。28年ものあいだ刑務所に収監されても諦めずに戦い抜いたマンデラの鬼気迫る執念がチームを勝利に導いたのかもしれません。
仕事の結果とプロセスどちらが大切かという議論があります。今回のワールドカップを見ていて、どんな結果を求めるかによって取るプロセスは変わるのではないかなと感じました。高みを目指せば目指すほどに、やらなければならないプロセスは厳しいものになります。裏を返せば、求める結果に応じたプロセスをやらない限り達成は出来ないということ。仕事に限らずプライベートでも、なにかを決めて覚悟を決めれば、どんな目標も達成させることができるようになるのではないでしょうか。
れっきとしたラグビー「にわかファン」ながら、今夜の日本VS南アフリカ戦、両チームの善戦を祈ります。