◆ビューティインテグレーション産業 -業界の構造的な課題を共創で解決する- ◆
低賃金、長時間労働、飽和する市場、山積する構造的な課題に対して美容師、サロン、ディーラーなど、美容やヘルスケアに関わる業界やサービスが連携して、課題解決に臨む共創プロジェクトです。
【はじめに】
美容業界は1.5兆円の美容産業。高度成長期に確立された産業は構造的な問題が山積状態。
ユーザー体験、サービスそのものがアップデート可能。
日本の信号機19万本よりも多い24万件の美容室。美容師の平均年収は270万円。
初年度50%→2年目80%→3年目92%の離職率(出所不明?)
美容室の強みである顧客接点の強さを活かせていない
- 美容師の仕事環境・ライフプランの改善
- 顧客体験、新たな付加価値・ビジネスモデルの創出
- サロンオペレーションの改善
こういった事業がビューティー産業の創出につながるのではないか?
【パネルディスカッション参加者】
モデレーター:SUNDRED株式会社 留目 真伸様
・株式会社ダイアナ徳田 充孝様
・LiME 株式会社古木数馬様
・ 株式会社HuBeauuu 北村 嘉崇様
・ロート製薬株式会社(アノマリー)平澤 伸浩様
・明治大学リバティアカデミー 金山 宇伴様
・中小企業庁財務課補佐官 日髙 圭悟様
・セッション1【美容サービス産業の抱える課題】
古木さん:平日はLiMEの運営をしながら、週末は美容師として働いているので美容師の気持ちはよくわかる。美容サービス産業が抱える課題を挙げると、「サロンだけの問題ではないが美容室の劣悪な労働環境」と「情報の格差問題、つまりお客様が本当に信頼できる美容師に出会えていない」という二つの課題があると思う。
飲食店は食べログのようなサービスが根付いているので小さな個人店でも料理の実力があれば集客できるが、美容室は広告で上位タイプの掲載ができるお金を持っている会社かインスタ等で発信力がある美容師にお客様が集中している。そうではない大多数の美容師さんが日の目を見ることがない。
北村さん:私は数百店舗の美容サロン経営企業の取締役をやっていたが感じるのは美容室の低価格化。店舗のオペレーション改善に注力しているが、ホットペッパーからくる新規の売上に敵わない。
徳田さん:美容師の数が増えて、人口が減っていく中で構造が変わらないのに美容業界が良くなる訳がないと私は思う。小売業は商店→百貨店→GMS→コンビニと進化してきた。美容業界は業態を変えてマーケットサイズを大きくしていく以外に解決の道はないのではないか。
平澤さん:世の中のマーケティングはこれだけ情報溢れかえっていると、近い将来プッシュ型からプル型に変わっていくだろう。よりパーソナライズ化にシフトしていくが、深いカウンセリングが必要で簡単なものではない。そう考えると美容室には非常に価値がある。
平尾さん:私は中小企業の事業承継問題が専門で美容室は厚労省管轄なので内情まで深く知り得ていないが、ビューティー産業は今年のオリパラを皮切りにインバウンド需要の強化によってマーケットサイズは大きくなると考えている。
金子さん:明治大学はリカレント教育を始めた。美容業界のリカレント教育も開始し履修証明プログラムも始める予定。そういった教育産業も今後伸びていくと考える。
徳田さん:美容室はセブンイレブンのような何でも屋さんになりたいのか?
北村さん:コンビニ業界もFCとの関係で問題だらけ。それを目指すべきとは思わない。ただ美容師はお客様のことを何でも知っている。こんなマーケット情報どこにもない。どうしたら活かせるか。だたモノを売ればいいというものではないが多能工化していくべき。
・セッション2【 ビューティーインテグレーション産業のカタチ】
北村さん:美容業界は変わっていないが、ディーラーの巨大化によって美容業界の流通は変わった。ちょっと皆さんに聞きたいが、美容室に行って毎回なりたい自分になれているか?とても少ないと思う。なりたい自分になれているという人でも、自分の気がついてない魅力を教えてほしいという声が上がる。美容室はもっと心や健康を維持できるような場所にアップデートされるべきではないか。
平尾さん:美意識の高い人の来店頻度は高いものなのか?サブスクのようなサービスが出てきているのはその傾向?
古木さん:事業者側から見るとサブスクは魅力的だが美容師さんは職人なのであまり考えていないと思う。ただ、美容業界だけでなくAIやIoTによって人間はこれから自由な時間が増えていくと思う。その空いた時間を何に使うのか。そうなれば美容マーケットはもっと大きくなるのではないか。
平澤さん:ドラッグストアのヘアケアマーケットは4500億円、対して理美容の店販マーケットは140億円。きれいになれる、心地よい空間など女性にとって、ヘルスケアステーションが理想ではないか。
徳田さん:ダイアナは下着メーカーと思われているが、化粧品だけで55億円売っている。美容師はもっと化粧品が売れるのでは?
金子さん:地方は目指せ町の保健室、東京はインバウンド需要に答えることが一つの答えになると思う。目指すべき目標が違い戦略も異なってくる。
やり始めたら、ビジョンを掲げるだけでなくもっと業界関係者だけでなく外部とも対話して広い視野で考えていくことが求められていると感じました。いずれにしても実行に移ったらやり切ることが重要なので、どこに注力するべきなのかしっかりと見極めていきたい。なによりも、聞いてわかった気になるのではなく、行動こそがすべてだと危機感を感じるイベントでもありました。